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「出発の日時は決まり次第伝えるように。いいな」
「あ、何処に連絡すれば」
「俺の部屋に直接来て言えばいいだろう」
「でも上級生の宿舎には立ち入り禁止ですので」
「ふーん、あっそう」
アスタロトは振り返り、揶揄うように言った。
「じゃ、あきらめれば?」
さすがにショウもむっとして、声を荒げる。
「禁を破れっていうんですか! 随分、無責任じゃないですか」
「融通が利かないな。まあ優等生には無理か」
仏頂面になったショウに、アスタロトは懐からカードを出して渡した。
「これ使えよ。どこでもフリーパスだ」
「なんですか? これ」
「Zカード」
ショウは目を見開いた。
Zカードとは学院内のどの施設も問答無用で出入りできる超特権カードである。学内上層部、それもひと握りの権力者しか手にできないシロモノだ。
「いいんですか、こんなの私に渡して」
「別に盗んだ訳じゃない。学園長の困り事に手を貸したら御褒美にくれたんだ。安心して使え」
ショウはハッとした。
「でも、先輩こそこれがないと困りませんか。必要だから持ってるわけでしょう?」
「俺の魔法で開かない扉なんてないよ」
アスタロトは自信たっぷりに微笑むと桜並木の中を行ってしまった。
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