口付け

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エンディングノートをベッド脇の引き出しに入れ、私が死んでもわかるようにしておいた。 書き終えると何故か猛烈な睡魔に襲われた。 私は目を閉じながら、先生の笑顔が見たいと思ってしまった。 「希望になる」と言ってくれた言葉が、今の私にはそれだけが生きる証のようだったから。 先生、あなたは私の希望です。 重たい瞼を開けると、私はたくさんの管に繋がれていた。 横には両親がいて、目を開けた私の顔を見て泣かないように堪えているのが見てとれた。 「ごめん…なさい」 「何言ってるんだ」 「そうよ…」 そう言うと私の手を優しく撫でてくれた。 主人がこんな時も来てくれなかった事に、私は意外と失望をしていなかった。 ただ、両親には申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 その時、先生が入ってきた。 私の顔を見て、微笑んでくれた。  「気が付かれましたね。」 そう言うと両親と話をして、また様子を見に来ますと言って出て行ってしまった。 こんな時なのに、私は先生の笑顔を見られて嬉しかった。 両親は一旦、家に帰り朝に来ると言って病室を出て行った。 私は再び深い眠りに誘われた。
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