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雨が降り病室の窓ガラスをひどく叩きつけるような音がしているが、カーテンを開けて外を見る体力すら今の私には残されていない。
私は病院のベッドに横たわり、死を待っている。
病気に気付いたのは、1年程前のこと。
身体の不調に気付いてはいたが、仕事が忙しいのを理由にして病院へ行こうとは思わなかった。
結婚して4年目で、まだ子供はいないしバリバリ働いていたい。
それに病気が見つかってしまう恐怖の方がまさっていたから。
暫くして会社の健康診断で再検査となり、そのまま入院となってしまった。その後は坂を転がり落ちるように、私の容体は悪化していった。
主人は心配して会社終わりに毎日来て、私の看病をしてくれた。
感謝と申し訳なさを毎日口にすると、きまって主人は私を慰めてくれた。
「俺の事は気にするな。
今は自分の事だけを考えろよ。」
そう言って、私の額に優しく口付けをしてくれた。
主人の口付けが、私には明日への活力だった。
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