雨恋い

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「うれしい、すっごくうれしい…」  はにかむその顔はまるで天使の様だがすまん、頼む。とっとと頷け。  トイレに……トイレに行きたいんだ。  どうしてオレはこうなのか。いや、実は先程カッフェィにてカゥフィーをドゥランクしていた時から、あともうスーンで尿意がカミングかもとは、とは、思っていたんだ。でも何かこう、流れっていうものがあるっつーか。だってそうじゃんあるじゃんアゼルバイジャン…………アゼルバイジャン? 「子供の頃にさ…」  いーいーいーいー。  いーいーいーいーいーいーいーから。  頷いておくれよぉ、OKしとくれよぉ頼むよぉ。  ノックしてんだよぉ、ノッキンオンヘブンズドアなんだよぉ。 「こういうとこで告白されたら最高だなって、思ってた」  彼女は少し照れ臭そうにオレから視線を外し、手すりに寄りかかる。  助かるーぅ。  正直限界過ぎてもうちょっと内股になっていたので、オレもこれ幸いと彼女に並んで股間を引っ込……手すりに寄りかかる。 「夢、ひとつ叶っちゃったよ。へへへ…」  やはり天使か、本来ならこんなんガッツポーズだけど今は何語りはじめてんだよって、思ってるごめん。  うぁーダメだ。ダメか。トイレだ。幸い近くに公衆トイレはある。この休憩所の直ぐ後ろ。走れば一分以内にエメラルドスプラッシュである。間に合わない事はない。  しかしどうだろう。この雰囲気をぶち砕いてまで「ちょっとトイレ」はどうなんだろう。せめてOKを貰ってからスティッキーフィンガーズしたい。したいんだよ。頼むよ。  祈る様な気持ちで空を見上げる。もう空がトイレだったらいいのに。雲が全部吸ってくれたったらええねん。いっそこっから街に向かって放尿してやろうか。ほらほら、オーバーザレインボー、でもちょっと黄色が強いですねって馬鹿野郎オレのクソ野郎早く頷いてくれもう金払うから頼むよ。 「……雲きてるね」  雲はいいのぉ何で焦らすのぉ?早くおトイレいかないとオレのドラゴンがドリームしちゃうのぉ。  ダメだ、もうダメだ、いったんトイレいこう、トイレ行ってくるって、言おう、しょうがない、言おう、仕方ない、言う、言うぞ、言うぞ、言う… 「夕立きたら……ふたりきり、かも」  ぞ……おぉ?  思わず彼女の方を向く。耳まで真っ赤なのは、陽のせいなのかい?  これは……これは……  ちゅーくらいまでは、もしかするのかい?  やっべぇ、トイレいげねぇ。いぎでぇ。どうしようどうしよう?どうしようどうしようどうしよう?  西には夕陽。だが見上げれば確かに頭上には、今にも降り出しそうな黒い雲。間もなく、もう間もなくという感じだ。  しかし逆に言えば、雨が振らない限り返事もこないという、もっといえば降り出した後にチュッチュする時間がもしかしたらもしかするかもという事。  もぅマヂ無理、決壊しょ…  とは言えここでトイレなんて、もう絶対言えないじゃないですか。頭の中のリトルオレは我慢の指示、股間のリトルオレは諦めろん。ダメじゃん、デスオワダイじゃん。  とにかく今直ぐにでも雨が降って、降って……降って?  うたれてしまうのは、どうだろう?
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