祭りの後

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胸に、腹に這わされるザラっとした舌に思わず漏れそうになる声を幸成は唇を噛んで堪えた。 優しく嬲る指に昨夜は全く感じることの無かった高揚が身体を包んでいた。 「……堪えるなよ」 完全に反応している幸成の雁を山神の指がなぞる。 「────ヤッ…………」 敏感に反応する幸成を楽しむ様に執拗に甚振る。 「お前、女は抱いたことあるか?」 「…………あり…ません…………んッ…ぁ…………」 小さく首を振る幸成の魔羅を無遠慮に弄びながら、ぷくりと育ち始めた胸の粒を舌で転がしていた山神が顔を上げ紅く染った幸成を見つめた。 「……男に抱かれたことは……?」 快感で潤んでいた幸成の瞳が大きく見開かれ山神を見つめかえした。 「──やはりそうか……」 そして恥じるように顔を背けた幸成に山神は眉をひそめた。 幸成を裸にしたときから、腎水の匂いと、それより遥かに濃い血液の匂いが鼻をついていた。 しかし幸成の反応から“それ”に慣れているとは思えない。 ───オレの元に来る前に恋しい男に抱かれたか………… 「……まぁいいさ……」 そう呟き逸らされたままの幸成の顔を無理に向けると再び口付け、冷めかけた熱を呼び戻した。 別に本気で殺す気も無ければ、傍に置いておくつもりも無い。 抱いてもいいと思ったことすら、ほんの気紛れだった。 強ばっていた幸成の身体が、昂りを弄び続ける指に徐々に力が抜け、快感に浸っていくのが分かる。 「………………ダメ…です…………もう…………」 布団を掴んでいる幸成の指まで薄紅色に染まっている。 「……いい声だ。見ててやるからイケよ」 耳元で囁く甘い声に、幸成の手が布団から無意識に山神の背に回された。 「────俺………初めてで…………」 戸惑う様な縋る眼差しに心臓が微かに音を立てた。 「………………いいさ……。そのまましたいようにしてみろ……」 「────ンんッ…………ダ……メ…………」 山神の背中に幸成の短い爪が食い込む。 どうしたらいいか分からず、僅かに首を振る潤んだ瞳が助けを求める様に見つめ、濡れた唇が薄く開かれている。 少しづつ早くなる鼓動のまま山神はその唇に噛み付くように口付けた。 そして激しくなった愛撫に幸成の身体はビクッと震え、初めての欲望を吐き出した………。
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