2人が本棚に入れています
本棚に追加
それから数分後。廊下から足音が聞こえてくる。
足音は複数。命じた通り、高橋さんが天上明里を連れてきてくれたのだろう。
僕は高鳴る心臓を抑え、教室の扉の前……ではなく、扉の正面から死角となる場所で待機する。
なに、難しい事じゃない。扉が開かれて天上明里が入ってきたタイミングで影を踏めばいい|。
どくどくと脈打つ鼓動と、刻まれる時計の音。どちらも僕の心境を表しているようで、焦燥感が際立ってくる。
こんな事を、一体何度繰り返してきたのだろう。
もう覚えていないし、その問いに対する答えを持ち合わせていない僕は、今日に至るまで何度も思い悩んできた。
けど、そんな毎日もこれで終わりだ。
最初のコメントを投稿しよう!