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高橋さんを用いた作戦は散々な結果で終わり、その後も接触の機会を探ってみたものの彼女に隙は無く、作戦は全て失敗に終わっていた。
「それに、あの日から既に5日も経っている。なのに僕は何をしている……?」
作戦が失敗した事に対する憤りから、ダン!と音をたて机に拳を叩きつける。
ナーバスな気持ちになりつつある自分に嫌気が差して、5日前と同じく机の上に突っ伏して瞳を閉じた。
思い出すのは、失敗続きだったこれまでの出来事。
1日目は、高橋さんにかけた能力が解除されて終了。
2日目は天上明里の包囲網により、近づけずに終わる。
そして3日目、4日目は同じ作戦を実行しようとして、両方とも破綻した。
「彼女をライトで照らして影を伸ばせば踏めるのではないか?」と考え、それは妙案だと一人興奮していたのだが、普通に変態行為すぎてダメだった。
2日間、本気で熟考していた僕はバカなのかもしれない。
そして5日目となる今日は……何もしなかった。というより出来なかったのだ。5日間かけてこれだ、流石に心が折れてしまう。
「……どうすれば、天上明里の影を踏めるんだ?」
誰に尋ねるでもなく呟いて、席を立つ。
これ以上考えても答えは出ない。そう結論つける僕は、今日はもう諦めて帰る事にした。
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