偽鰹

1/1
前へ
/1ページ
次へ
「こらぁぁぁぁ!!」 ランドセルを放り投げて出ていく弟。床に散らばった宿題の数。 怒りの掛け声とともに走り出す。 「はぁはぁはぁ……」 どんどん見えなくなっていく背中に、ついていけない足。夕飯のおかずを一品、いや二品、減らすと考えた頭。くるりと回った体は、ちょっぴり重かった。 「よし!まいたな!」 宿題より野球。算数より簡単な計算式に、勝利のガッツポーズ。飛び跳ねた心と、華麗なる着地に、己を呼ぶ声。あぁ、なんて清々しい気持ち。 「あっ、きたきた!おーい!かけるー!!こっち、こっちー!!」
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加