雨と兄

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 僕は十四歳だという。それはケーキに刺されたローソクの数で知った。  面白いことをしようか。兄ちゃんは言う。生クリームをその細長い指に絡めながら。その綺麗なアーモンド形の目を楽しげに笑わせながら。  兄ちゃんのやることは何だって面白かったし、随分と気持ちが良かった。今回などは生クリームの冷ややかさと兄ちゃんの舌の熱さとの対比が絶妙で、それは僕の目に涙さえ浮かばせた。  我慢しなくていいんだよ。兄ちゃんは言う。ここには兄ちゃんとたぁくんのほかに誰もいやしないんだ、と。  泣いているかのような僕の声が雨音に混じる。それは誰の耳にも届かない。  外から中を覗き見ることのできないフィルムが窓に貼ってあって、そこを滑り降りる雨の筋が歪む視界に入った。  雨だけは見ているのか。僕らを、じっと。  この行為そしてこの気持ちの良さは一体何なのだろうかと思いながら来る日も来る日も兄ちゃんと二人で続けてきた。今日も、明日もこれをする。
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