第二十四章 夜に沈む森 四

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「だがね、鬼はデリケートで、自分の場がないと、勃つ事ができない」 「人には、指南しておいてですか?」  しかし、鬼は場所を選ぶらしい。 「朽木など、どこでもしていますよ」  見てはいないが、そう確信できる。 「それは、温血の強みだ。でも、鬼の血が強いから…………自分の場に、他の者を入れない傾向があるだろう?」 「…………あります」  だから鬼は、どうにか自分の場に、人を連れ込もうとするらしい。 「鬼を追いかけさせる?」 「それが、隠れ鬼。人が鬼を追い掛け、場に入り込む。入り込んだ人を、今度は鬼が捕まえる」  そして、最初に戻るが、朽木達は鬼だったので影響が無かったが、匠深は人に近く、隠れ鬼というゲームが適用になってしまった。 「匠深は、鬼を追い掛けて、この神社にやってきた。そこで、場が展開された」 「神社も鍵だった…………」  神社は朽ちていたのではなく、場を封印する為に壊されていたものだったらしい。それを、朽木達が夏休みの工作で復元してしまった。 「その神社の鍵は、匠深と融合した」  匠深は、朽ちた神社の真相を知っていた。そして、どうしても、鬼に近付かなくてはならなかった。 「鬼は、嫁を自分よりも先に死なせない…………雌が怖いからだけどね。でも、それは絶対」  人間が鬼の嫁になる方法がある。 「隠れ鬼で鬼に勝つと、鬼はその者を生涯守る。匠深は、面を見つける事で、鬼に勝とうとした」 「その…………面というのは何ですか?」  すると、金太郎にも面というものが分からないという。 「奉納する天狗の面は、床下に大量にある。でも、あの封印されていた能面?怖い面だな、それは気を塞いでいたものだった。物凄く、強い面」  だが金太郎は、面は分からないが、匠深と融合してしまった事は知っていた。 「一説によると、あの能面は、元は鬼だった」  しかし、それ以上の事は、金太郎もよくは知らなかった。 「ゲームは、匠深の勝ちで終わったのでしょうか?」  面は何だかわからないが、それは勝ちだったのだろうか。 「終わり???ゲームは終わっても、又始まる。鬼を捕まえたら、鬼になる。そういうもの…………」 「匠深が鬼になった?」  そこで、金太郎が少し唸っていた。
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