第二十五章 夜に沈む森 五

2/7
57人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
 立哉は、判断するには、まだ情報量が少ないという。俺もそう思うが、この存在を許していいのか、竜王として悩むのだ。 「界に寄生する場とも感じる」 「寄生は排除ですか?」  立哉も小声になっていた。 「善玉菌とは共存したいだろう…………」 「今度は菌ですか……」  俺は酒を飲んでいる立哉に乗り、窓から外を眺めてしまった。  ここは、俺の住んでいる界ではなく、付随したどこかだ。しかも、人から精を搾取して、ここの生命は糧にしている。  それが界にとって良い事なのかといえば、界を弱らせる原因にもなっている。だからといって、この場を簡単に排除は出来ない。 「…………ここは何だ?」 「俺の上で、溜息をつかないでください」  俺が外を見ていると、普通の人間が横切って行った。その人間を目で追っていると、先導して歩いている鬼と、小部屋に入って行った。 「あれ、鬼ではない」  すると、朽木も姿を確認し、ゲームで借金が嵩んでいる男だと言った。 「ああ、ゲームから抜け出せなくなると、ここに辿り着く者がいる」  鬼がいる、追いかける者がいる。そういう単純なゲームなのだが、人数を増やし、金を懸ける事によって、そこに真剣以上の何かが生まれる。そして、その欲と精が、ゲームの中盤で、鬼の場を形成する。その場が、ここに繋がる事があるという。 「鳥居を潜ってやってくる。彼等は欲を持っているが、それを吸収できていない」  金太郎は、横目で部屋を確認すると、苦そうに酒を飲んでいた。 「ここに連れ込まれたという事は、ここでポンプになるという事?」 「そうだな…………どちらかというと、シリンダー……」  金太郎は、困ったように目を閉じると、暫し項垂れていた。そして、何度か首を傾げると、壁を叩いた。  すると、ただの壁であったのに、そこには映像が映っていた。 「凄い、大画面だ」  どういう仕組みになっているのだろう。  壁に移っているのは、どこかの部屋で、窓から見えている景色が、この場所と類似していた。そして、部屋の中央には布団が敷かれていて、そこに先ほど横切って行った男がいた。 「布団は必要?」 「体操の時にも、マットが必要だろう?」
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!