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第二十六章 悲しみの鬼
他に、いなくなった者には目羅の従兄弟がいたが、その従兄弟も鬼の伴侶になっていた。
「あの子は、鬼の血が強く出ていて、人ではいられなかった。だから、ここに逃げ込んできた」
「鬼になったのですか?」
だが、鬼殿になるまでの強さはなかったので、ここで鬼の伴侶となって暮らしているという。
「鬼の血が強いとね…………弊害が出る場合が多い。いい面で、朽木と繁在家は鬼が表に出たけれどね…………普通は、精力が強いとか、体に負担が掛かって倒れる」
その従兄弟は、幼い頃から精力の面が開花してしまい、どうにもならなくなっていたという。そして、鬼の場に来て、同じく精力旺盛な鬼達に混ざった事で、幸福を得た。
「あ、君達の友人の場所に繋げられるよ」
「結構です!」
しかし金太郎は、幸せに暮らしているという事は嘘ではないと、画像を出していた。
「え。新一と真治は、巻島は中学生のままだったと言っていました…………」
「それは、人の場に戻ったせいで、ここでは成人している」
目羅兄弟が、親友だった巻島と会ったときは、失踪した姿のままだったと言っていた。しかし、画像に映っている巻島は、成人した姿になっていた。
「巻島、ゴツイ男になったな。まるで、ゴリラ?」
「それでも、鬼には可愛い嫁だよ」
ここでは肉体労働が多いので、住んでいると、どうしてもゴツイ体格になってしまうらしい。巻島も例外ではなく、例えていうのならば、ヘビー級のボクサーか、アメフトの選手のようだった。
しかも、場面はどこかの家の中で、巻島は全裸にピンクのエプロンをしていた。
「え…………ピンクのエプロン…………」
「しかも、ゴリラ………………」
エプロンでは、前は隠れているが、そのがっしりとした尻は丸出しで、そこから伸びる足もごつい。だが、緑色をした鬼は、嬉しそうに巻島を後ろから抱き締め、あちこちにキスしていた。
「尻を隠して欲しい」
「エプロンのセンスが悪い」
ピンクのエプロンには豪華なフリルが付いていて、花の刺繍もあった。これを、ゴリラのような巻島が着ているので、眩暈がしそうなほどに、違和感がある。
そして、丸出しの尻にも、かなりの違和感があり、何故、見せているのか分からない。
「鬼にとって、人の尻は、乳みたいなものだな。見ていると嬉しくて、かなり興奮してくる」
「尻で興奮しないでください!」
この筋肉質な尻の、どこが良いだろう。
そして、巻島の筋肉で出来ている胸は、別の意味でグラマラスだ。
「胸、でかいな…………」
「胸は筋肉だけどな…………」
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