第二十六章 悲しみの鬼

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 巻島の中学時代は、ひょろひょろだったので、こんなにゴリラに成長するとは想像できなかったと、朽木が驚いていた。 「あの、小さくて痩せていた巻島が………………」  鬼は巻島のエプロンをまくり上げると、その筋肉でCカップ位になっている胸を舐めて、キスしていた。すると、巻島は頬を染めて、鬼の頭を抱き込んだ。 「巻島…………顔もごついな」 「工事現場の方のように、日焼けしているし…………これは、角刈り?」  まるで、見てはいけない世界で、とんでもない光景になっていた。鬼の方もガテン系の、がっちりとした体形なので、余計に本物の世界のようで怖い。 「あ、又、背中にキスに戻った…………」 「舐めると、尻が締まって可愛い。鬼は、尻が好きだから、背中を鑑賞する事も多い。それと、筋肉が少ないと温かくないだろう?」  筋肉に暖かさを求めた事は無かった。 「背中も、凄い、筋肉」 「ボディビルダーのようだ」  このキスというのは、欲を舐めとるものかもしれないが、巻島は無理に振り返り、鬼にキスを返していた。その光景はまるで新婚で、巻島の笑顔に偽りはない。だから、幸せというのは理解した。 「分かりましたので、この辺で、いいです」 「…………いや、ここからが問題なのかな…………」  鬼は人から、欲や精を受け取り、それを人に返す。 「人は、鬼の場にいても、元の場に繋がっている。そして、そこから精や欲を貯める」  だから、鬼殿は欲の場を作り、搾取し易いようにする。そういう仕組の中で、巻島は生き抜いていた。  鬼は巻島の背中を舐め回すと、そのまま尻を舐め、更に割り開いた。 「この裸にエプロンというのは、いわば、人の食事の服装にも近い。この子は、巻島君?巻島君は、もう、夜だけの食事では間に合わなくなった」 「食事の服装??」  どうも、ここはリビングで、これは食事の最中らしい。  巻島は尻を舐められて喘ぎだし、壁に手をついて尻を付き出した。すると、鬼は躊躇なく、巻島の尻に嵌め込み始めた。 「そんな…………あれは何だ」 「この生活を続けていると、そういう体になってくる」  あれは、尻ではなく口だろう。どうして、尻に口が付いているのか、それ以上追及したくない。それに、とても怖い。
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