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私は自宅玄関を出て、しばらく立ち止まり、目の前の風景に見入っていた。
かつてそこは田園で、野球場一個分の広さはあった。
6月頃から田植えが始まり、夏にかけてたくさんの蛙がゲロゲロと鳴く。
10月頃、稲刈りが行われ、冬になると、ちょっとだけ寂しさが残る。
その場所を見るだけで、四季の風情を感じることができた。
現在、その場所は様変わりしている。
1年程前、その場所にブルドーザーやダンプカー が入るようになった。
土地再開発と言う名目で、工事が始まったからだ。
田園の土が掘り起こされ、新しい土に入れ替えられる。
それが終わると、排水溝や道路が作られていった。
田植えは見れなくなり、蛙の鳴き声も聞くことがなくなった。
もうこの場所で、四季の風情を感じることは出来なくなった。
「これも時代の流れ」
私は、そう思っている。
ショックは受けていないし、田園にそこまでの思い入れがなかった。
むしろ、工事中の方が大変だった。
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