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77.ポプリ袋を作って飾る
サフィは男の人、そう聞いたけど今日も綺麗だった。お胸も大きいし、抱っこされると柔らかくてあったかい。
「イルちゃん、一緒にこれを作りましょうか」
サフィが見せてくれたのは、小さな袋だった。中に花びらや葉っぱが入っていて、いい匂いがする。鼻を近づけて、くんと吸ってみた。
「いいにおい」
「ありがとう、イルちゃんも好きな花や匂いの葉を詰めて欲しいの」
詰めるは入れる。言葉を言い直して教えてくれたサフィに、お礼を言ってから袋を選んだ。用意された袋は色がいっぱい。どれも綺麗だけど、僕は黄色と赤を選んだ。
机じゃなくて、床に道具を広げる。両足を揃えてから外へ出してペタンと座り、お尻を床につけた。いっぱいあるお花から、好きな色を選んで詰める。上までいっぱいに入れると、結べなくなるの。
袋にはリボンがついているから、それより下まで入れるんだ。最初に見せてもらった袋を真似して、半分くらい入れた。首を傾げて聞くと、サフィが僕を褒める。
「ちゃんと聞けるの偉いわ。それと、量もちょうどいいわね」
ぴったり! 嬉しくなってリボンをぎゅっと引っ張る。でも上手に結べなくて、サフィに手伝ってもらった。黄色が終わったから、次は赤いのだ。こちらは違うお花を入れた。葉っぱも多めに……多すぎるかも。
指を入れて中身を少し出したら、袋が落ちてしまった。床にぱっと花や葉が散らばる。
「ごめ、なさい」
「あら、いいのよ。この青い袋に入れちゃいましょう」
溢れた分は、サフィがくるっと指で回すみたいにしたら浮き上がる。お行儀よく、順番に青い袋に入った。
「すごぉい!!」
「ありがと、イルちゃんは本当に可愛いわ。こんな子が欲しかったのよ」
「えっと、ほしい。だめ」
欲しいのは嬉しいけど、僕はメリクと一緒だから。そう説明したら、サフィがくすくすと笑った。なんだか楽しそう。
「そうね、メリク様と幸せになりなさい。私達は近くで守りたいの」
難しいお話なのかな、僕はよく分からなくて。でも守るのは嬉しい。こないだみたいに変な怖い人が来たら、助けてほしいから。それにサフィと会えるし。
「嬉しいわね。赤い袋もリボンを結ぶから手伝って」
「うん」
僕がリボンを引っ張って、口をぎゅっとする。くるりと巻いたサフィが、僕の手を取ってリボンを結んだ。僕はリボンを離さないで、持ち直しただけ。でも結べたよ。
「これは特別になったかしら」
赤い袋と黄色の袋、それから青いのも貰った。どれも少しずつ匂いが違う。メリクに見せたら、部屋に飾ると言った。
袋を持った僕をメリクが持ち上げて、部屋の中に袋を置いた。赤いのはご飯を食べるお部屋で、黄色はお洋服をしまうお部屋。それから青いのを寝るお部屋に飾るの。
いい匂いだと褒めるメリクと一緒にご飯を食べて、お風呂に入って着替え、ベッドに寝転ぶ。その間、どのお部屋もお花や葉っぱの匂いがした。お花は枯れても使えるんだね。乾燥させたら、色は違っちゃうけど匂いは残る。
説明してくれたメリクが、今日の絵本を出した。怖い人がお姫様を閉じ込めて、王子様が助けに来るお話だった。僕は王子様になりたいな。
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