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読者の声
「ちょっと涼花! 何で、ここで終わんのよ。
ここからパンツの中に手ぇ突っ込んで、シコシコするんでしょ!
そんでもって、お腹に張り付きそうなくらいにパツンパツンな佐藤くんのアレをレロレロしちゃうんでしょ!
喉の奥にまで咥え込んで、息苦しくなりながらもエクスタシーなんでしょ!」
最新話をアップした1分後、美桜から苦情の電話が掛かってきた。
ヒートアップしまくっている美桜に思わず怯んだが。
「喉の奥で締め上げるなんて、私、そんなエロ漫画みたいな芸当出来ないよ。
処女の私にそんな難しい事、求めんなし」
一応言い返してみる。
美桜は全く納得していないけど。
「何言っちゃってるの?
涼花は彼氏が居るのに店長と毎晩アヘアヘやってる変態なんでしょ?
実は乱交とかもやってて、ハプバーの常連でアソコもガバガバなんでしょ?」
「いや、ちょっと待て。そんな属性知らねぇし。流石にそこまでのビッチじゃねーよ」
「っていうか、大好きな彼氏って設定どこ行ったの?
佐藤くんに耳打ちされただけで、自分から誘うとか。ワクワクしかないんだけど」
「美桜が佐藤くんとか言うから、設定がブレブレになっちゃうんだよ。
元々、下手くそでヘタレの彼氏が大好きなのに、テクニシャンの店長に籠絡されて、悩ましいって話にしようとしてたのに。
でも、やっぱり佐藤くん良いね。ゲヘヘ」
「だろう? もう、微に細を入れた描写で行こうよ。私も佐藤くんのアレをああしてあんなんになってる妄想したい。ゲヘヘ」
電話口でだらしない顔してんだろうなぁと容易く想像出来るくらい、弛み切った美桜の発言を聞きながら、ふと思った。
「そうだ。美桜も出そうか?
でさ、美桜は妄想日記の中で、佐藤くんと付き合ってんの。で、佐藤くんのエッチにちょっとマンネリ感じちゃってて。とか」
美桜は乗ってきた。
「いいじゃん! でさ、私は涼花の彼氏……うーん、誰が良いかな。あ、目黒先輩とか?」
目黒先輩か。うむ、悪くない。
細面にクールな黒縁メガネを掛け、風紀委員の腕章をかざしながら、ビシバシ生徒を取り締まる、目黒先輩を思い浮かべ、私は頷いた。
「良いね。普段はドSなのに、エッチはヘタレ。
イジメて欲しいのに、全然違うから悶々。
それ、頂きだわ」
私の反応に美桜は満足そうだ。
「面白くなってきたね。次はもうちょい、直接的なのを頼むよ」
「あんまり、ガッツリやると、セキュリティガイドラインに引っ掛かっちゃうんだけど」
「引っ掛かったら、別のサイトに移植しなよ」
「それもそうだね。ま、いいか」
そう言うと、美桜は「うむ」と呟き、「じゃあ、また明日!」と電話を切った。
静かになって、一人で考えてみる。
なんか、一気に登場人物が増えちゃったな。
佐藤くんに美桜に目黒先輩。
店長の出番、あるかな。
まあでも良いか。
っていうか、佐藤くんのアレって、実はどうなんだろう。
でも、全然喋ったこともないのに、いきなり「見せて♥」とか言ったら、本気で通報案件だよな。
ま、妄想で補うか。
そもそも、想定外に粗末だったら、ガッカリして創作意欲失うかもだしな。
なんて事を考えていたら、階下からママに呼ばれた。
「涼花、お風呂入って」
「はーい!」
私の意識は一気に日常へと戻った。
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