本能のまま追いかける

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「また2キロ太っちゃったなぁ」  体重計を降りて、画面がゼロに戻るのを見届ける。問題なく「0」が浮かぶと、思わず「いいなぁ」と羨んだ声が出た。 「私の体重も、ゼロにならないかなぁ」  空気でさえ重さがあるのに、何を言っているんだか――自分に嘲笑しながら、洗面所から台所へ移動する。  その時、無意識のうちに手が「とある棚」へ伸びる。しかし、棚の中身は空。 「あぁ、そうだった」  クルリと体の向きを変え、次に手を伸ばしたのは食器棚。やや雑に並んでいる食器の奥。私の手は、そこまで行くとピタリと止まった。  掴んだのは、お菓子の袋。 「今度こそ食ベないぞ!って、意を決して食器の奥に隠したのに。まーた追いかけちゃった」  逃げるお菓子と、  追いかける私の本能。  2キロの差が埋まるまで、その攻防は果てしなく続く。
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