第1話

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「勝手なこと言うなよ! あんたに何がわかるんだ」  向けられた言葉が、躊躇なく突きつけられた事実が悔しくて涙が溢れた。 「助けてくれなんて頼んでないのに、勝手に俺を連れ出したのはあんただ! せっかく侵入できたのに、あんたが邪魔したんだ!」 頬に雫が伝う。バドルに泣き顔を見られたくなくて、ヒカリは焦ったようにそれを拭う。 「あんたが俺の事情に興味がないのとおんなじで、俺だってあんたの仕事の都合なんて知らない」  今度はヒカリが男に背を向けて歩きだした。 「どこへ行く」  今来た道を戻っていくヒカリにバドルが声を掛ける。しかしヒカリは答えない。 「おい、待て」  追いかけてきたバドルがヒカリの腕を掴む。 「離せよ」  その手を振り払って振り向き、まるでバドルこそが父の仇であるように、ヒカリは睨みつけた。強い眼差しを受け、バドルが諦めたような溜息を吐いた。
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