第2話

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 二年前、先代の王が病に倒れ崩御したあと、王の座についたのは今年二十六歳になるこの国の第二王子だ。第二王子より三つ年上の兄は、国王と側室の間に生まれた。第一王子として迎えられ、のちに王妃との間に誕生した第二王子と分け隔てなく育てられた。しかし王位を継いだのは、幼い頃から利発で、十五を過ぎる頃には既に政治的にも頭角を現していた第二王子だった。妾腹という不利があるとはいえ、仮にも弟に王位を譲る形になってしまった第一王子は、さぞ鬱憤が溜まっていることだろうと思いきや、兄は兄で若い頃から自分の持ち分を理解していたらしい。将来弟の片腕となるべく、他国へ留学し外の世界を学んでいた。隣国のカイサルにも長い間滞在していたが、二年前に国王が倒れて以来、このレムーダに舞い戻り外務大臣の地位に納まっている。血縁に重きを置くレムーダを象徴する二人だった。二人の絆は末永くこの国に安泰をもたらしてくれる。  国民は王を敬い、絶対の信頼を寄せ、忠誠を捧げている。もちろんヒカリも、そして父もそうだった。だけど王は、最悪の形でそれを裏切ったのだ。
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