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三日後、森の中の湖を訪れると、約束した通りにバドルが待っていた。三日前と同じ格好をしている。
「おい、お前、食事はとっているのか?」
ヒカリの顔を見て、バドルは開口一番そう言った。結局ヒカリは、自宅の前に放置されていた食料に手を付けなかった。心の隅では勿体ないと思った。食べ物を粗末にすることに申し訳ない気持ちになった。だけどそれよりも自分の中の怒りが先行してしまう。知っている筈はないのに、バドルにそのことを咎められたような気がして、ヒカリはバツが悪いような気分になった。
「別に、あんたに関係ないだろう」
素っ気なく返して、ヒカリは追及の目から顔を逸らした。そんな態度にバドルは諦めたように短い息を吐く。
「座るか」
バドルに促されて、ヒカリは黙って従う。二人して湖に向かって腰を下ろした。バドルは手にしていた大き目の麻袋をごそごそと探ると、金属製のポットを取り出した。付属のカップに中身を注ぐと、湯気と共に芳しい香りが立ち込める。
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