第2話

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「ほら、まだ充分温かい」  差し出されて受け取りはしたが、ヒカリはそれに口を付けず凝視した。 「なにこれ……」 「なんだ。コーヒーも知らんのか?」  揶揄うような言葉にヒカリはむっとした。 「そういう意味じゃない。なんでこんなの……」  バドルは答えず、更に麻袋から食べ物を取り出す。 「俺の夜食だ。食え」 「なにそれ、そんなのいらない」  差し出された紙包みを、ヒカリは押し返す。けれどバドルは引き下がらない。 「言った筈だ、俺に従えと」  バドルの声が僅かに低くなり、重さを増す。 「空腹では頭も回らんだろう。その痩けた頬を治さんことには目的遂行は程遠い。俺は可能性のない者に知識を授ける無駄骨は御免だぞ」  バドルは有無を言わせず、ヒカリの膝の上に包を置いた。「冷めるぞ」と声を掛けられ、ヒカリは渋々カップに口をつけた。
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