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「まさか陛下がこのような場所にいらっしゃるとは思いもせず、失礼を致しました」
男の上擦った声がどこか遠くで聞こえていた。訳もわからないうちに、ヒカリを掴んでいた腕が離れ、兵士達はみな隊長に続いて跪いた。
視界に遮るものがなくなって、バドルと視線が合わさる。昏い顔をしたバドルが、ゆっくりとした足取りでヒカリに近付いてくる。
「ヒカリ」
バドルの声が頼りなく響いた。
「国王……って?」
訊ねているのは自分なのに、ヒカリはそれをどこか遠いところで見ているような気分だった。
「ヒカリ、落ち着いて話を聞いて欲しい」
バドルの手がヒカリへと伸ばされる。それが自分に触れようとした瞬間、ヒカリはその手を叩き落していた。バドルと、周囲の兵士たちが息を呑む。
「どうして……?」
何かの冗談としか思えなかった。
「バドルが……あんな命令を出したの? 俺の父さんを……殺したの?」
バドルは苦渋を滲ませた表情で何かを紡ごうとした。しかしすぐに口を閉じて黙り込んでしまう。
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