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「ヒカリ」
王はヒカリの正面で膝を折り、その表情を窺うように見上げた。
「本当にすまない。こんなことになって」
なんの感情も宿していない表情で、どこか遠くを見ているようなヒカリに、王は悲しそうな顔をした。
「何から話せばよいのかわからないが、まずは今まで私の正体を隠していたことを謝らせて欲しい」
王は手を伸ばしてヒカリの頬に触れようとした。
「……触るな」
ヒカリが発した一言に、王の手が止まる。
「面白かったか? 自分を殺したがってる人間を間近で見て、躍らせて、楽しんでたんだろ?」
目の前に暗殺を狙う張本人がいることに気付かず、あまつさえその相談を持ち掛けるなんて愚の骨頂だ。なんて間抜けな男だろうと、内心馬鹿にして笑っていたに違いなかった。
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