第4話

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「もちろんそれは未遂に終わった。相手の様子がおかしいことに気付かれた陛下が問い質すと、女は泣いて謝りながら自白した」  気付くと、ヒカリの手のひらにべったりと汗が滲んでいた。国王陛下を暗殺する。それはヒカリ自身も本気で考えていたことだ。実行はしなかった。だけど今ハーシウが語ったのは実際に起こった話だ。 「このことを知っているのは私だけだ。陛下はその女を罪に問われなかった」  しかしそれ以降、王が誰かと夜を共にすることはなくなった。 「女は泣いて謝罪をするだけで、最後まで動機を述べなかった。しかしのちの調査で何者かに指示を受けていたであろうことがわかっている」  まさか、とヒカリは心の中で呟いていた。その気持ちのままハーシウの目を見たが、肯定も否定もされなかった。それが逆にヒカリの中で確信となった。王の暗殺を目論んだのはシャラフだ。 「陛下は周囲と距離を置かれるようになった」  何百万人もの人間に愛されている王が、そんな孤独を抱えていたことに、ヒカリは衝撃を受けた。
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