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「お前は……あいつの男妾ではないか。何故こんな場所にいる?」
相手がヒカリだとわかった瞬間、シャラフは笑みを浮かべた。
「……なんだ、何が訊きたい?」
シャラフは余裕の表情でヒカリを見下ろす。
「二ヶ月前に砂漠で起きた事件は、国王の命令じゃないんですか?」
「何故そんなことが知りたい?」
硬い表情で黙ったままのヒカリに、シャラフは不気味に口元を歪めた。
「……まあよい、教えてやろう。そもそもあの事件に国の兵士は関与しておらぬ」
呆然とするヒカリの反応が愉快だというように、シャラフは話を続けた。
「あれは私の指示で、兵士に扮したズィップの一味が行ったこと」
ヒカリは穴が開く程シャラフを凝視した。
「一部で国王に非難の声が上がっても、奴はその命を出したことを否定しなかった。何故だかわかるか? 私が仕組んだことだと気付いていたからだ」
何がおかしいのか、シャラフは手を叩いて笑い声を上げた。
「確かに、一部の非難より兄弟の不仲が知れる方がダメージは大きい。まったく我が弟ながら賢明な国王だ」
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