第5話

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 視界が赤く燃えていた。怒りのあまり肩も指先も戦慄いていた。 「だが同じことが何度も続けばどうかな。一部の非難の声は広がり、飛び火し、やがて民衆は国王に対して不信感を抱く」  シャラフはまるで詩を詠うように語る。 「しかしどんな手を使ったのか、ズィップの連中が使えなくなった。これはとんだ痛手だったが、こちら側に握りこんだ兵士を使えば事足りる」 「あなたは……この国の王族でしょう? どうしてそんな真似……」  訊ねる声が震えた。ヒカリにはシャラフの行動がまったく理解できなかった。 「こんな時代遅れの国など必要ない。この国の価値は豊富な資源のみ。それらをすべて吸収し、経済力を蓄えたカイサルで、私は高官として迎え入れられるのだ」 与えられた真実にヒカリは言葉を失った。本当にこれが、王と血を分けた兄弟なのだろうか。 「さて、訊きたいことは以上か? 冥土の土産としてはもう充分であろう」  シャラフは兵士の一人に目配せをした。一歩踏み出た兵士は、腰の剣を引き抜く。 「悪く思うな」  兵士は振り上げた腕をヒカリへと振り下ろした。
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