第5話

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「これはどういうことですか」  ヒカリを守るように、王は兵士の前に立ちはだかりシャラフを睨み付けた。兵士は王の登場に萎縮し、シャラフは決まりが悪そうな顔で舌打ちをした。 「兄上……いや、シャラフ・イッザ・ヒシャーム。私は今ここであなたの数々の愚かな行為を認め、罪に問います」 「なっ、何を言う」  うろたえるシャラフの背後から大勢の足音が聞こえた。間もなく姿を現した兵隊はシャラフの逃げ道を塞ぐように背後に整列した。 「こんなことをすればどうなるのかわかっているのか!? 国民に不安が広がり、王家は信頼を手離すことになりうるのだぞ!」  慌てふためくシャラフに、王はゆっくりと近付いた。 「国民にはありのままを伝えます。……偽りの姿はいつか綻びが生じる。私は真実を公表し、民に真摯に謝罪をするつもりです」  確固たる意志を示す王に、シャラフは呻き声を上げた。
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