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「ま、言いたくなければ別に構わん」
バドルは半ば呆れたように言ったあと、「だが一つだけ」と続けた。
「何が目的か知らないが、あんな場所に忍び込むなんぞ命知らずも甚だしい。今日無事だったことも奇跡と思った方がいい」
諭すようなバドルの眼差しに反発するように、ヒカリは相手を強く見返した。
「でも、あんたは何度も侵入してるんだろ?」
暗くて広大な敷地を迷うことなく進んでいた。
「まあな。捕まるようなドジは踏まん。この中にしっかりと王宮の情報が入ってるからな」
バドルは言いながら、人差し指でこめかみの辺りを突いた。
「それ、本当か?」
バドルの言葉にヒカリは目の色を変えた。
「おっと。情報なら売らないぞ」
口に出す前に先回りされた答えに、ヒカリは顔をしかめる。その様子にバルドは溜息を吐いた。
「それじゃあ訊くが、お前はそれを知って一体何をしでかすつもりだ? 盗賊デビューするつもりなら、もう少し容易な初心者コースを教えてやらんこともないが」
からかわれている。ヒカリは失意に肩を落とした。
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