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「バドル!」
シャラフは短剣を抜き放ち、王を目掛けて切りつけた。ヒカリは王を突き飛ばすように身を投げ出す。
ヒカリはかつて、自分の命にかえても王を殺したいと願った。だけど今はこの命を投げ打っても守りたいと思う。
「っ!」
左腕に焼けるような痛みが走った。よろけるヒカリの体を王が抱き留め、すぐさま自らの背後に隠す。再び剣を振り上げたシャラフに、王は剣を抜いてその一撃を弾き飛ばした。激しい金属同士の衝突音と共に、シャラフの剣が宙を舞って近くの草むらに突き刺さる。王は剣を振りかざし、シャラフの喉元でピタリと止めた。同時に取り囲んでいた兵士達も背後からシャラフに刃を突きつけた。悔しそうな唸りを上げるシャラフを、兵士が拘束し連行していく。シャラフに従っていた兵士数名も捕らえられていった。
シャラフが拘束されたことを確認した王は、弾かれるように背後を振り向く。
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