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第6話
ヒカリが軟禁されていた部屋も充分広くて綺麗だと思ったが、その部屋は比べものにならない程の重厚さに満ちていた。足元に触れる柔らかなカーペットの感触。美しい調度品の数々。高貴な香の芳しい匂い。
王室お抱えの医師に腕の治療を施されたあと、ヒカリはハーシウに王の自室へと連れてこられた。ふかふかのソファの上で、落ち着かない気分で部屋を見回す。傍らで待機しているハーシウは、そんなヒカリの心境に気付いて小さく笑みをこぼした。
あんな大事件があったあとだ。バドルは状況の確認や諸々の指示をする為に、ヒカリをハーシウに託していった。
「無事で安心したぞ」
ヒカリの気を紛らわす為に、コーヒーを用意する合間、ハーシウがぽつりと呟いた。その言葉はヒカリの腹の奥をふわりと温める。
「あの、ハーシウさんは全部知っていたんですよね?」
ヒカリの事情も。バドルとの出会い方も、真実を知らないまま、ヒカリが王を恨んでいたことも。
ヒカリの問い掛けにハーシウは一度目を伏せ、そして静かに話し始めた。
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