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「国境の砂漠で起きた事件の報告を受けて、陛下はひどくショックを受けておられた」
シャラフの暴挙を防げなかった自分を責め、もう二度と惨劇を繰り返させない為にある行動に出た。
「表立ってシャラフ様を咎めることはできない。威信の問題もあった。体面の為ではない。王家が揺らぐと国民に不安が走る」
そこでバドルがとった選択は、根源を取り去るのではなく、それ以後の実行を実質的に不可能にすることだった。
「陛下は自らが先頭に立ち、水面下で事件の実行部隊であったズィップと接触を図られた。このことは宮殿の中ではほんの数人しか知らない」
「……あ」
初めてバドルに会った夜、どうしてあんな場所にバドルがいたのか、ヒカリはようやく理由がわかった。バドルは秘密裏に宮殿を抜け出し、ズィップと接触していた。シャラフは、『ズィップが使えなくなった』と話していた。恐らくバドルの目論見が成功したのだろう。一国の王がそんな危険な真似を侵していたことにヒカリは驚きを隠せなかった。
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