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視界は真っ暗だ。目を開けることもできない。ただ心臓の鼓動も聞こえず息をしてる感覚もない。
ああ、死んだんだな。
それだけがただわかった。
俺が初めて神に会ったのは、8歳で病気を患ったときだった。それから8年ごとに雨が降っている間、俺は神に会った。
初めて神に会ったとき、その場には神ともう一人少女がいた。その子は12歳だった。それでも酷く大人びていたのを覚えている。そして神は残酷にも俺に寿命を告げた。
「これからお前は三度この場所に来るだろう。そして最後にこの場所から帰れば、お前は死ぬ。この運命は変えられない」
神は淡々とその事実だけを幼い俺に告げたが隣の少女は神に怒ったように言った。
「そんな冷たい言い方をしなくても良いじゃない。ここは子供たちのための楽園でしょう?」
そして少女は俺に向き直って優しく言った。
「君は何かやりたいことはない?ここでは何でも望めば叶うのよ」
俺は答えた。
——人を助けたい——。
「そう。それならピッタリね!私はもうココに来るのは四度目なの。……どういうことか分かるわよね?」
俺は頷いた。
「だから今度この場所に来たらあなたが導いてあげるのよ」
その言葉を最後に俺は現実に戻ってきた。
そして間もなくテレビのニュースで女性の刺殺のニュースが流れてきた。女性はあの世界で会った少女の面影を残していた。
あの世界に初めて12歳で行ってから四度目、つまり48歳で彼女は亡くなったわけだが、そのニュースを見ても俺は驚かなかった。
人を助けるという自身の願いのために生きることを心に強く決心しただけだった。
死という結末を知ってるからこそ、自分の生を必死に生きることができる。
ある意味幸せだった。何だってできたから。
それは神からの最高の贈り物だった。
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