神からの贈り物

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 とある梅雨の季節。どこの誰とも知れぬ彼は部屋の窓から空を見上げていた。 「雨よ降れ——さすればあの日に帰りなむ——」 呪文のようなその言葉に呼応するようにぽつぽつと小さな雨粒が降り出した。 彼はそれを見て心底嬉しそうに笑い、告げた。 「やっと会える——」 雨はすぐに強まり、窓を強く打つ。気づけば、明かりのついたままの部屋には誰もいなかった。
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