2.キミが嘘をついた

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2.キミが嘘をついた

川瀬由貴には他の小学校出身の同級生、 神代綾という彼女がいる。 目鼻立ちの整った川瀬と、明るく華やかな 雰囲気の神代さんはお似合いのカップルだ。 神代さんからのアプローチで付き合い始めた 川瀬は、スマホの待ち受け画面を彼女との ツーショットにしているくらい、 彼女に一途でいたはずなのに。 何故、よりにもよって、 親友の僕に手を出してきた‥‥? 川瀬の本心がわからなくて、 翌日、川瀬と行動を共にすることが 苦痛になってしまった僕は、 同じくクラスメイトの佐橋雄大にお願いして ちょっかいを出してもらうことにした。 「何何、ケンカでもした?」 「違うし」 佐橋のいい所はフットワークが軽く、 悪い所は余計な一言が多い。 佐橋は佐橋の親友の秋津昌美と ニヤニヤしながら、僕を見ている。 「まあいいよ。川瀬に聞くから」 「止めろよ」 「冗談冗談。放課後、うち来る?」 「行こうかな」 川瀬がひとりこちらを見ているのには 気づいていたが、わざと気付かぬ振りをし、 佐橋たちとじゃれあった。 「川瀬くん」 隣のクラスの神代さんがタイミングよく 川瀬を呼んだ。 川瀬は頭を下げ、神代さんの立っている 教室の入口に足早に向かう。 「あーいいなあ、彼氏彼女って感じ」 佐橋が心から羨ましそうな声をあげ、 秋津が頷いた。 「岸野。この際、川瀬から卒業したら? 神代さん、嫉妬しちゃうぜ」 「そうだな」 軽く鼻で笑い、言葉を濁した。 それでも僕のファーストキスの相手は、 川瀬由貴なのだが。 その時、川瀬の神代さんと話す声が 聞こえ、その内容に耳を疑った。 「え、昨日の放課後?ひとりでうちに いたけど」 ん?! 川瀬、何故嘘をつく必要がある?
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