Kiss,kiss,kiss.〜another version〜

4/6
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「岸野、起きろっ、おいっ!」 何度か呼びかけると、だんだん岸野の 視線に色が戻ってきた。 「岸野!大丈夫か」 「‥‥ああ、川瀬。おはよう」 「おはよう、じゃねえから!!」 馬乗りのまま、俺を見下ろしていた岸野を 容赦なくどかし、ベッドに腰掛けさせた。 「お前、ますます寝ぼけがひどくなるな」 「えっ、僕が何したの」 「まず、馬乗りになってたことは受け入れ ようか」 「あ、ごめん‥‥そうみたいだね‥‥ 川瀬、あとは僕、何した?教えてくれる?」 「‥‥ディープ、キス」 恥ずかしくてふいっと横を向き、呟くと。 岸野は両手で自分の頬を押さえ、 うわーごめんなさいと言った。 「とうとう川瀬に、そんなことを」 「寝込みを襲ってきたよ‥‥不意打ちで、 避けられなかった‥‥お前、社員旅行とか 絶対に行くなよ?マジで訴えられるから」 「い、行かないよ‥‥」 「というか、全く覚えてないのか? 自分がやらかしたこと」 「うん‥‥」 「とりあえず、神代綾には内緒にする。 お前からもカミングアウトするなよ」 「わ、わかった‥‥本当にごめん」 「ん」 頷きながら、少し残念に思っていた。 せっかく岸野とキスしたというのに、 岸野は全く覚えていないのかと。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!