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プロローグ 激動の大正
1914年6月、オーストリアに併合されていたサラエボの町にて、セルビア人の青年によってオーストリア帝国の皇太子が暗殺された。
皇太子を暗殺されたオーストリアはセルビアに宣戦布告。
オーストリアはドイツと同盟を結んでおり、セルビアはバルカン同盟の支援をロシア帝国に受けたことにより密接な関係となっていた。
7月にオーストリアとセルビアとの戦争が始まると、ドイツはオーストリアにつき、ロシアはセルビアについた。ロシアはフランスとイギリスとの間に三国協商を結んでいるため、フランスとイギリスもセルビアにつくのであった。
第一次世界大戦の始まりである。
第一次世界大戦は4年4ヶ月もの長きに渡った。日本は日英同盟とシベリア出兵という形で参戦したものの日本本土が戦場とならず、ドイツ軍基地のあった青島とドイツ領南洋諸島を占領することで国力を大きくする結果に終わったのであった。
第一次世界大戦中の日本の産業であるが、欧州が戦場となったことにより世界中に欧州の製品が輸出されなくなった。その間隙を縫い、薬品・染料・肥料・炭鉱業・鉄鋼業・機械工業などと言った産業の成長に力を入れ、世界中への産業の輸出大国の座へと滑り込んだのであった。
それは日露戦争以降、日本を苦しめていた不況からの復活と言うに相応しいだろう。
所謂「大戦景気」である。
時は大正、大戦景気による経済の発展は工業化・都市化を促し、日本国民の生活は洋風化、近代化へ変化していくのであった。
このお話は、大戦景気に揺れる帝都東京にて繰り広げられた一人の男と一人の女の大正浪漫の物語である。
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