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「水瀬の命令はきくのか??それに…………光は言葉が通じたのか…………」
金太郎も、光を操っているが、それは物として動かしているだけらしい。
「水は山に繋がっているのか…………」
この水は、山から流れてきている湧き水を根源としていた。だから、界として別れた時に、枯れてしまう恐れがある。
この水が、鬼の場の水源だとすると、絶って大丈夫なのか、少し気になる。
「水の鬼はいますね?」
「そこにいるよ」
そこと言われて下を見ると、滝つぼの付近に、抱き合っている鬼がいた。
「………………………………」
「ここが、最奥の部屋とも呼ばれていて、入れる鬼は数人しかいない。それと…………」
姿を見ると、それが誰なのか分かってきた。
「匠深ですね」
水鬼と抱き合っていたのは匠深で、膝に抱えられて、上下していた。その上下というのが、遠目でも分かるピストン運動であった。
「………………あはああん、ああああん!」
そして、姿が確認できてしまうと、声まで聞き取れてしまった。
これは匠深の声で、鬼に差し抜かれて喘いでいた。
俺がそっと朽木を見ると、朽木は思った以上に冷静で、この場の様子などを確認し、鬼の場所を見た。
「やっぱり、俺には匠深が見えない…………」
そして、匠深の声も聞こえていなかった。
朽木の事を心配していたが、匠深の事は、ここでも見えないと分かった。
「はああああああ!!!!!ああああああんんんん!!!!ひいいいんん」
匠深は髪を振り見出し、滝の上を見て大きく口を開いていた。そして、顔を歪めて喘いでいる。その口からは、大量の泡を吹き出し、時々、ごぼごぼと咳をする。そして、泡を吹き出すと、再び喘ぐ。
「水の気が強いのか…………」
だから、溺れそうになってしまうのだろう。それに、この場にも問題がある。
「精を水に変えている?」
「水鬼だからな」
水鬼が、精を水に変える事が出来るのならば、少し安心する。少なくとも、生きられる量の水は確保できそうだ。
「でもな、精を水に変えるのは、ここだから出来る事だ」
これだけの密度の精が無いと、水に変える事は出来ないらしい。
「それと、水鬼は、匠深を愛している。でも、匠深は分かっていない」
「匠深は、鬼は義務で抱いていると思っていますからね」
匠深の舌が暗闇に長く伸び、鬼の舌と絡まり、深くキスをする。その間も腰は揺れ、どこからかブチュブチュというような、滝とは違う水音が木霊してきた。
「あっはん、はあああんん!!」
そして、キスが終わると、再びバンバンバンという、叩きつける音が響き始める。
「はうはうはう!!」
匠深は、泡を吹きながら、涙も流し、鼻水も垂れ流していた。だが、恍惚としていて、他には何もない虚無の表情にも近かった。
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