第三十一章 Hide and seek

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「いや、獣というよりも…………もっと、別の生き物かな…………」  それは俺も精を取り込んでみたので、よく分かる。そして、月森や安在も、精を取込み考え込んでいた。 「これは…………何だろうな…………」 「別界なのかな…………」  同じ人の姿をしていても、別界の住人はどこかが異なる。そして、発する精も異なっている。 「しかも、この濃密な精は、少しでも薄くなると、周囲の精を取り込む」 「境界に存在しているから、他の界からも取り込んでしまうのか…………」  そして、この精を取り込んでみると、この場が鬼にとって重要なのだとよく分かる。 「そして、ここに匠深がいる……」  この意味は何だろう。  匠深が融合した面。その面になった鬼。そして、濃密な精を満たす場。全てが繋がっている事で、ここに住む鬼の生命線になった。 「面になった鬼は、精…………」  精を宿した鬼は、自分が死ぬ時に面になり、残った鬼達を支えていた。そして、その面は、匠深と融合した。 「鬼は、融合する事で、再び蘇った?」 「今を予測して、甦る計画だったのか?」  場が界にまで安定した時、切り離される可能性があった。だから、面に姿を変えて、子孫になる鬼を守り続けた。 「…………そうか………………界は分離できるのか…………」  界は不純物を集め、場を作り、界にまで進化させると切り離す。そして、記憶を補正し、最初から継続していた世界がこれだと補正する。そうやって、内包する生命を守ってきた。 「界が、継続する為の本能か…………」  俺達は、界の補正に導かれていたのだ。 「それで、ここに匠深がいて、鬼と愛し合っている」 「精の鬼は、ポンプみたいな役目だ。そして、その役目は子孫に引き継がれた」  そもそも、何故、注挿をしたくなるのかといえば、このポンプの役目を担っているからだという。それが、正しい事なので、気持ちよくなるように界が補正した。 「男同士でも、この行為は正しい。正しいから、気持ちいい」 「まあ、そうなるのか」  匠深を抱いている鬼は、真剣に匠深を抱いていた。匠深が半狂乱で抱かれているのに対し、かなり真面目な表情をしている。だが、嫌という感じではな く、真面目だという印象を受ける。
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