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「いや、獣というよりも…………もっと、別の生き物かな…………」
それは俺も精を取り込んでみたので、よく分かる。そして、月森や安在も、精を取込み考え込んでいた。
「これは…………何だろうな…………」
「別界なのかな…………」
同じ人の姿をしていても、別界の住人はどこかが異なる。そして、発する精も異なっている。
「しかも、この濃密な精は、少しでも薄くなると、周囲の精を取り込む」
「境界に存在しているから、他の界からも取り込んでしまうのか…………」
そして、この精を取り込んでみると、この場が鬼にとって重要なのだとよく分かる。
「そして、ここに匠深がいる……」
この意味は何だろう。
匠深が融合した面。その面になった鬼。そして、濃密な精を満たす場。全てが繋がっている事で、ここに住む鬼の生命線になった。
「面になった鬼は、精…………」
精を宿した鬼は、自分が死ぬ時に面になり、残った鬼達を支えていた。そして、その面は、匠深と融合した。
「鬼は、融合する事で、再び蘇った?」
「今を予測して、甦る計画だったのか?」
場が界にまで安定した時、切り離される可能性があった。だから、面に姿を変えて、子孫になる鬼を守り続けた。
「…………そうか………………界は分離できるのか…………」
界は不純物を集め、場を作り、界にまで進化させると切り離す。そして、記憶を補正し、最初から継続していた世界がこれだと補正する。そうやって、内包する生命を守ってきた。
「界が、継続する為の本能か…………」
俺達は、界の補正に導かれていたのだ。
「それで、ここに匠深がいて、鬼と愛し合っている」
「精の鬼は、ポンプみたいな役目だ。そして、その役目は子孫に引き継がれた」
そもそも、何故、注挿をしたくなるのかといえば、このポンプの役目を担っているからだという。それが、正しい事なので、気持ちよくなるように界が補正した。
「男同士でも、この行為は正しい。正しいから、気持ちいい」
「まあ、そうなるのか」
匠深を抱いている鬼は、真剣に匠深を抱いていた。匠深が半狂乱で抱かれているのに対し、かなり真面目な表情をしている。だが、嫌という感じではな
く、真面目だという印象を受ける。
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