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洞窟から外に出ようとすると、案の定、途中で迷子になってしまった。そこで、立哉に乗せて貰うと、滝に戻り、上から外に出た。
滝を登った先には、山の頂上があり、そこには赤い池があった。その赤い池の底から外に飛び出し、神社の上空を飛んでみると、精の流れも見えてきた。
「雄は精をポンプで汲み上げ、吸収する」
このポンプというのは、性交だ。
「そうか雌は、地中に染み込んでいる精を、野菜や果物、穀物に吸収させて食する」
見えていた村の先には、広大な農地が広がっていた。その広さは、地平線まであり、途中に果樹園なども存在していた。
「森の豊穣な土は、畑に使用される」
こんなに広大な土地があるとは、思ってもみなかった。
そして、鬼の女性達は大きく、走る速度は自動車並みで、運搬力はトラックほどもあった。
「あ、不審者として石を投げてきた」
「岩だろう………………」
立哉は姿を消していたのに、気配で察知して攻撃していたようだ。
岩が当たると痛いので、立哉にお願いして、山に戻って貰った。
「こっちに、雄の村のようなものもある」
そして、地面では金太郎が手を振っていた。
「あれ、金太郎は先に家に帰っていたのか…………」
金太郎がいなくなっていた事に、俺は全く気付いていなかった。
「あ、先生だ」
そして、金太郎の横で手を振っているのは、失踪してしまった先生だという。
「元気で、幸せそうだ…………」
先生の家族は、今も探し続けている。だから、ここで先生が幸せに暮らしているので、ハッピーエンドとは言い難い。でも、幸せで良かった。
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