ぺ くるんど

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 ふと出たため息が外気に触れて白くなって消えていくのを、私はぼんやりと眺めていた。推薦入試を終えた私はろくに爪痕も残せず、グループ面接では他の子のアピール材料として自身を提供してしまったんじゃないかとモヤモヤを抱えながら、坂道を下っていた。前方には一緒に受けに行ったのであろう2人組の女子が、ここが上手くできなかっただの落ちたらどうしようだのと楽しそうに不安な気持ちをぶちまけている。私は小さく「転べ」と一言吐いた。何も起きやしなかった。私はだんだん胸が苦しくなって、駅へ続く道を逸れていった。今を思えば、それは人を呪った天罰だったのだろうか。歩けども歩けども似たような人家が立ち並び、「今度はこっちだ」と行ってみれば、さっき見た標識との再会に私の頭は真っ白になった。
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