ぺ くるんど

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 それからはよく覚えていない。気づけば木材を模したコンクリートのベンチに座っていた。未だに自身の進路に迷っているというのに、現実までも迷子とはこれ滑稽の極みと、公園の林がさえずった。その中の一本が歩き出したかのように一瞬私の目に映ったが、すぐそれは人間だとわかった。どうしようもなくなっている私は道を聞こうとして、歩み寄ることを止めてしまった。なぜか逃げた方が良い気がしたが、私の足はつっ立ったまま動こうとしなかった。相変わらず前方からその者はのしのしと進んでくる。空いた数メートルの世界がどこまでも続いている気が私にはした。けれどもそれは着実になくなっていっていることは言わずともわかっていた。私の頭は、この危機を避けることとなぜこの状況が危険なのかの2択でいっぱいいっぱいになっていた。
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