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壱話 二度目の人生
次に目が覚めた時、周りは真っ暗だった。
「……ここは?」
「目が覚めたか?」
声がした方を向くと人らしきものが座っていた。
見た目は十歳ぐらいだろうか?
小学生に見えるがこういう見た目のやつは俺よりも年上というのが相場で決まっている。
「あんたは?」
俺はそいつに言った。
「私か?私は君たちが神という俗称で呼んでいるものの一つだよ。偉そうにしているが私はほんの十年前に誕生した神のひよっこだよ」
見た目通りの年齢だった。
同時に最近の神って若いんだなと思った。
「で?何で俺はここにいるんだ?さっきまで電車にいたはずだが」
「君は死んだよ」
神はそう言った。
は?俺が死んだ?確かにここに来るまでの記憶は無いが…………死んだのか。
「俺が死んだのが事実かはどうでもいい。お前名前はあるのか?」
「私の名前か?私はヘルタ。ヘルタ・ジオーネクス・レビリオスだ」
「名前長……」
思わず本音が漏れたが、こいつは本物だろう。
ということは俺は転生でもするのか?死んでこういうとこにいるやつは大体そういう運命だ。
「早速だが、お前に選択肢をやろう」
ほら来たよ……
「二度目の人生を歩むか、それとも死んだ事実を受け入れこの世を離れるか、選べ」
そんなの答えは決まっている。俺は今までつまらない人生しか送ってこなかった、次の人生があればもっと刺激的で退屈しない人生を送ろうとしていたのだ。
誰もがきっと一度は異世界というものに憧れるだろう。
このチャンスを逃すはずがない。
「俺はもう一度人生を歩み直したい」
俺はそう答えた。
「そうか、では転生させる前にお前を転生させる世界の情報を教えてやろう」
「お前が転生する世界はヘルタという。
そこでは魔族、人間が存在し、常に魔族と人間は敵対している。そこにお前を転生させるという事で一つ能力をやろう、何か思いつくものはあるか?」
「"ドルトン"……」
何故かその言葉が咄嗟に口から出た。
「ドルト……ン?はて?それが君が望む能力かい?それはどういうものなんだい?」
ヘルタは不思議そうに首を傾げた。
「ドルトンは物質の原子や質量を表す単位のことだ」
俺はそう答えた。
「つまり、物質の重さに干渉する能力が欲しいってことかい?」
ヘルタは理解が早いらしい。さすが神だ。
「まぁ、そうだな、重力や質量に干渉できるスキルが欲しい」
何故頭に浮かんだのかはわからないが、恐らく死ぬ直前に身体が浮く体験をしたからだろうな……
「前例がないからなんとも言えないけど、それでいいならもう転生させちゃうね。どんな場所に転生させてほしい?」
転生する場所が選べるシステムなのか……
それならば……
「魔物や魔族が少なく、集落や街に近いところに転生したい」
俺は早々に死にたくはないからそう答えた。
「それだと……この辺りかな。……このセシル村が最適だろうね。じゃ、そこに転生させちゃうね」
仕事早いなこの神。
「ん、そこでいい。転生させてくれ」
「わかった」
『転生場所を承認 個体名出雲 零をセシル村に転生させます 転生まで……三……二……一……零』
シュウウウゥゥゥパシュンッ
目が覚めると俺はベッドの上だった。
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