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古賀の反応は宮島を驚かせた。喫茶店でコーヒーを頼んだ宮島は転勤の話をした。すると、古賀は意外にもほっと顔をほころばせた。寂しそうでもあり、腑に落ちた表情に宮島が戸惑ってしまう。
「昨日何か話したそうにしていたのはわかってたけど、結局教えてくれなかったから」
「気づいてたんか」
「だからゲーセンまで時間延長してあげたのに」
すべては古賀の思惑だったことに宮島は微笑した。
「じゃあ春になったら会いに行こうかな」
「おう、来たらいい。俺もそれまでに一回こっちに来られたらって思ってた」
それから二人は宮島の転勤先について短く話した。ご当地の食べ物や観光名所、その間
古賀は愉しそうにしていた。
最後に、と宮島は話題を変えた。
「古賀に頼むのは気が引けるんやけど」
「何よ今さら」
「ゲレートを古賀に預かってほしいんや」
ゲレート、と古賀は目を輝かせて名前を読んだ。なぜか古賀とゲレートは波長が合うようで、宮島の家に来ると二人で愉しげに話している。だからこそ、古賀であればゲレートを任せられると考えた。
「次の部屋が今よりも狭いらしくて、ゲレートを置くスペースがないんよ。あいつもまだ丈夫だし、古賀のところに行けるって知ったら喜ぶと思う。
「いいよ。これから宮島に会えない代わりにゲレートに構ってもらえるから」
「俺とあいつは同程度なんか」
「同じくらい大切ってこと」
二人は目を見合って歯を見せて笑いあった。
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