1人が本棚に入れています
本棚に追加
まったくもって不可解なことだった。
走れば走るほど体は楽になり、止まろうとすると苦しくなるのである。
自分の体のことでありながら、首をひねらずにはいられなかった。
そして俺は、さらに奇妙奇天烈な光景を目にする。
ソレは今まで、俺の真後ろにいたため見えなかっただけのようだ。
ところがソレがわずかに右斜め後方にズレたため、視界に捉えることができたのだった。
どうやら俺は、集団の最後尾ではなかったらしい。
俺たちと同じように走っている者が、他にもいたのである。
しかもソイツは、槍を振り回しているのである。
そして俺は理解した。
追いかけているのではなく、他の者たちと同様、俺は追いかけられているのだった。
最初のコメントを投稿しよう!