俺たちが走る理由

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 まったくもって不可解なことだった。  走れば走るほど体は楽になり、止まろうとすると苦しくなるのである。  自分の体のことでありながら、首をひねらずにはいられなかった。  そして俺は、さらに奇妙奇天烈な光景を目にする。  は今まで、俺の真後ろにいたため見えなかっただけのようだ。  ところががわずかに右斜め後方にズレたため、視界に捉えることができたのだった。  どうやら俺は、集団の最後尾ではなかったらしい。  俺たちと同じように走っている者が、他にもいたのである。  しかもソイツは、のである。  そして俺は理解した。  のではなく、他の者たちと同様、俺はのだった。
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