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どうして俺は、走っているのだろう?
さっぱりわからない。
わかっていることといえば、前方にも俺と同じように走っている者が複数いるということだ。
その数、ざっと見た限りでは数十といったところだ。
さらに左側へと視線を走らせると、やはりあちらにも走っている者がいる。ただしあちらとこちらでは進行方向が逆で、すれ違うような格好になっている。
そこで俺は、ふとあることに思い当たった。
もしかして俺は、今現在、何かしらの競技会を行っている最中ではないのか、ということだ。
つまり誰が最初にゴールへと辿り着けるのかを競っているのではないのか、というわけだ。
だとするならば、急がねばならない。
なぜなら俺が今いる位置は、走っている集団の中の最後尾なのだから。
そうとわかればのんびりしている暇はない。俺はスピードを上げようとした──その時だった。
前を行く1人が叫んだのである。
「どうして追いかけてくるんですか!」
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