あなたは海をどう思ってる?

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あなたは海をどう思ってる?

「ねぇ?あなたは海をどう思ってるの?」 「大きくて、魚がいて、塩からい」  彼女は急にこちらを振り返った。そして一つの質問をした。僕が質問に答えると、彼女は少し不機嫌になった。 「ロマンが無いね」 「求められても困る」 「あのね、そういう意味じゃないの。客観的な意見を言ったってどうしようもない。私はあなたに聞いている。一つの主観の中に客観性をもちこまないで欲しいの」 こんなことを言われるのは初めて。逆なら何回も聞いている。そんなのお前の意見だろ。だけど彼女はそのお前の意見を知りたがっているのだ。  すぐそばに海はある。僕は目を凝し、海をジッと見つめた。いまさらだが、ここの海は輝きというものがない。 「わからないな。やっぱり僕はロマンが無いのかもしれない」 「そう」  僕達は話すのをやめ、ただ海を眺めた。カモメの鳴き声が聞こえる。僕たちは堤防に並んで座り、静かに押し引きを繰り返す波の様子を、ただ眺めていた。
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