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それから
リカルドと暮らし始めて、なんとなくわかった。やたらテンション高かったのは、盛り上げようという気づかいと照れ隠しもあったんだろう。元気で明るくてよく笑うけど、会話があってもなくても普通に過ごせるようになってからは、最初ほどはちゃめちゃな感じじゃなくなった。
「ジュリエッタはさ、なんで神託申し込んだの?」
なんでって。
「そりゃ、モテなかったから」
「ええっ?! ジュリエッタ、優しいし、可愛いし、お料理上手だし、お針子の腕も確かだし、引く手あまただったと思うのに……」
「そんな、買いかぶり過ぎだよ。実家にいた頃も、一人暮らし始めてからも、全然モテなかった。私が縫ってるの若い女子向けの服だから、そもそも男性との出会いがないし」
なんだかリカルドは腑に落ちない表情。
「そっか……? あ、でも、そのおかげで出会えたから、結果オーライだね!」
にっこにこの笑顔で言われる。リカルドは私に対する好意を全くためらわずに示すし、なにかにつけいい方向でとらえてくれるから、なんかむずがゆい。
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