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少し息をつき、私の方を見てにこにこ笑いながら、リカルドはこう続けた。
「ドアが開いた瞬間、この子なんだ! って、すごく嬉しかった」
リカルドのあまりにも真っ直ぐな気持ちに、よくわからないけど、なんだか少し、身の置き場のなさを感じてしまう。
「そんな……素敵な女の人じゃないよ、私」
「ええ? 俺、ほんと、ジュリエッタが相手でよかったよ!」
ただ、と、リカルドがつぶやくように言う。
「父ちゃんにも、会わせてやりたかったな、ジュリエッタのこと」
「お父様?」
「三年前に亡くなったんだ。お前の相手、早く見たいなあって言ってたよ、ずっと」
「……絶対、一緒にお墓参り、行こう」
「うん。ありがとう! 父ちゃんも母ちゃんも喜ぶよ!」
リカルドはにこにこしているのに、なんだか妙にさびしげに見えて、思わず抱きしめてしまう。そのまま頭をなでると、リカルドは黙って、ずっとされるがままになっていた。
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