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修理
「あ」
リカルドが袋を落とした。落ちたのが私のそばだったので、埃を払って渡す。
「はい」
「ごめん、ありがとう」
リカルドは両手で受け取ると、丁寧に抱え直した。
余計なお世話かな、と思ったけど、職業柄ちょっと気になったので言ってみる。
「その袋、持ち手壊れてるし、穴空いてるけど……」
「その、もうずっと使ってるから……」
こんなになっても使い続けてるってことは、お気に入りなのかな? でも、ワンショルダーリュックの持ち手が壊れてるって、致命的だと思う。
「よかったらだけど、それ、修理しようか?」
私の提案に、リカルドはすごくびっくりしたような表情を浮かべた。
「え?! こんなぼろぼろなのに、修理できるの……?」
「もっかい見せて」
リカルドがおずおずと袋を差し出すので受け取る。隅に一箇所穴があいてるけど、裏から布をあてて繕えばよさそうだし、もともとの布がそこそこ丈夫だから、全体に補強すればなんとかなりそう。
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