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「これなら、たぶん大丈夫だと思う。一週間くらい預かっていい? その間、別の袋貸すから」
「ほんとに、ほんとに直るの?」
「うん。やってみる」
リカルド、今度は、まさかそんなことがあるなんて! みたいな顔をしてる。表情豊か。
「ずっと、壊れてるの気になってて、何軒か修理出そうとしたんだけど、そのたびに新しく買った方がいいって勧められて……」
なるほど。面倒なだけでお金にならなそうな修理だし、買ってもらった方が手間もかからず確実に利益出るもんねえ。
「ほら、初めて会った日、荷物ぶちまけたって言ったでしょ。それ、この袋がさっきみたいに落ちちゃったからなんだよね」
こんなに壊れてても、荷物ぶちまけちゃっても、使い続けてるってことは。この袋、リカルドにとって、相当大事なものなんだ。鈍い私でもさすがにわかった。
「なるべく変わらないように修理するね。補強するから少しだけ重くなるけど、いい?」
「それは全然かまわない」
「じゃあ、しばらく貸してね」
「よろしくお願いします!」
リカルドにいつものおひさまみたいな笑顔が戻って、なんだかほっとした。
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